春風に誘われて、旧横浜の記憶をたどる

花と季節のあれこれ
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前回に引き続き、今回も横浜の地での華探訪を綴っていきたいと思います。

桜の名残とともに、少しだけ懐かしさを感じる街並み。
春の風に背中を押されるように、今回は「旧横浜」をめぐる小さな旅です。

「旧横浜」とは、一般的に開港以来の歴史ある横浜の中心エリア、特に横浜港周辺や山下町、日本大通り、関内、馬車道、元町、中華街あたりでしょうか。
江戸末期の開港以降、西洋文化がいち早く流入したことで、横浜は日本で最も“モダン”な港町の一つとして発展しました。

桜木町駅から野毛坂へ

春の陽差しがほんのり温かい午後、電車を降りたのは桜木町駅。

駅前のにぎわいを抜け、足は自然と野毛坂方面へと向かいます。

川沿いの小道に差しかかると、視界いっぱいに大岡川の流れ。その両岸には、桜がふわりと舞うように咲いていました。

満開は少し過ぎていたけれど、花びらが風に揺れて川面に落ちる光景は、どこか時間が止まったかのような美しさ。咲き誇る春よりも、こうして静かに散っていく桜の姿に、なんだか、やさしく包み込まれるような気持ちになります。

関内から馬車道へ

川の風景を後にし、関内方面へと歩みを進めます。

途中、活気あふれる伊勢佐木モールを通り抜けて馬車道へ向かいます。
馬車道はその名の通り、かつては本物の馬車が走っていたエリア。ガス灯を模した街灯や石畳が残り、レトロモダンな雰囲気が漂います。

歴史ある建築が並ぶ整然とした並木道には、ハナミズキの蕾がほころびはじめていました。

春とともに巡るこの街には、訪れるたびに違った顔があります。風の匂い、光の角度、そして足元の花たち。どれも一期一会ですね。

赤レンガ倉庫で出会うアートの気配

そのまま歩を進めて大さん橋を横目に通り過ぎ、赤レンガ倉庫にたどり着きました。

春の観光客でにぎわう広場の中で、黄色いバラでかたどられた馬の像がひときわ目を引きます。

明るい陽射しの下、花でつくられたその姿は不思議と力強く、そしてやわらか。足元には、ネモフィラキンギョソウが咲き、春の空気を一層華やかにしていました。

ふと、視線を向けると、ミュシャ展のポスターが。

優美な曲線と花に彩られた女性たち——ミュシャの世界は、どこか「いけばな」とも通じる、静かな情熱を秘めているように思えます。

ゴールは旧横浜港駅

この日の散策の終着点は、旧横浜港駅

今は静かに佇む駅舎も、かつてはたくさんの人を迎え、送り出していたのでしょう。
風に揺れる草花に囲まれたその姿からは、長い時間がやさしく降り積もっているようでした。

華やかな場所ばかりではないけれど、だからこそ惹かれる“旧横浜”。

その街並みのなかに、春と記憶が交差するような、そんな瞬間がいくつもありました。

こうして歩いてみると、旧横浜の風景はどこも美しく、そしてどこか懐かしい温度を持っていることに気づかされます。

赤煉瓦のあたたかみ、かつての駅の記憶、商店街の花たち、そして静かに咲く街路樹。

花が咲くことで、場所の記憶が少しだけ輪郭を持って浮かび上がってくる──
そんな感覚が、この街には確かにあります。

花と街が奏でる、静かでやさしい時間。その中にそっと身を置くような探訪を、これからも続けていけたらと思います。

それでは、今回はこの辺で。

花と猫、そしてちょっとの探訪記
いけばなとともに、今日もひと息。

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