春の陽ざしに誘われて、今年も横浜・山下公園を訪れました。
ここは、私にとって何度訪れても心がふっとやわらぐ、特別な場所です。
潮の香り、港の風、どこか異国を感じさせる街並み。そして、今年もこの季節にぴったりのイベント「よこはま花と緑のスプリングフェア2025 花壇展」が開催されていました。
花壇展は今年でなんと62回目!
今回のフェアでは、約1か月の開催期間中、山下公園を中心に華やかな花壇が多数展示されています。私が訪れたのはちょうどお天気の良い午後。公園の入り口からすでに、色とりどりの花々と優しい空気に包まれ、心も身体もふわりと軽くなるようでした。
- 開催期間:4月5日~5月6日
- 会場:山下公園
ピアノが奏でる花の音色
注目を浴びていたのは、横浜市議長賞を受賞している環境造園さんの作品
なんと、グランドピアノを模した花壇。
黒いピアノのフォルムの中に、アルメリア、バーベナ、ナデシコ、ラベンダーといった春の花たちがリズムよく並んでいます。花のひとつひとつが鍵盤の音のように軽やかで、まるでどこかから音楽が聴こえてくるようでした。
ちょうどそこに春風が吹き抜けて、花びらがふるふると揺れた瞬間、本当に音が鳴ったのでは?と思ったほど。
ピアノ描かれたさりげない「YOKOHAMA」も遊び心がありますね。
足を止めて見入る人たちの表情もどこかほころんでいて、花がもつ力ってやっぱりすごいなぁ……。

鳩と氷川丸と、静かなひととき
氷川丸の前には、仲良く寄り添って佇む二羽の鳩がいて、その姿がとても印象的でした。
仲良くならんで船を見上げる姿が可愛らしくて、二羽でどんな話をしているんだろう、と空想に耽ってしまいます。
こうした風景に出会えるのも山下公園の魅力のひとつですね。
氷川丸のそばで潮の香りを感じながら、しばしベンチでひと息。目の前では観光客の笑い声、遠くにはバスカーの音楽。
噴水の側でそっと咲くとパンジーやヒナギクの陽だまりのような色が、景色の中にやさしいアクセントを添えてくれていました。


噴水と小道、そして花の記憶
さまざまな作品の中には噴水と小道をモチーフにした花壇も。
花壇の中には小さな小道が描かれていて、まるでその道を歩いているような気分にさせてくれます。
花の植栽にストーリーが込められているのが伝わってきて、見るたびに「次はどんな物語があるのだろう?」と想像がふくらみます。
使用されていた花材はネモフィラ、マリーゴールド、マーガレットなど。
どれも色のバランスや配置が丁寧で、まるで「おとぎ話の舞台」を覗いているような、不思議な懐かしさがありました。


花の展示と街の記憶
花壇展を見て歩きながら、ふと「この場所の持つ記憶」について考えていました。横浜という街が長い歴史のなかで育んできたもの、そして花と共にある風景。
現代の都市の顔を持ちながら、どこか懐かしい雰囲気が漂っているのは、昔と今が自然に重なっているからなのかもしれません。
実はこのあと、私は旧横浜港駅にも足を延ばしてみました。
近代建築の面影や、戦前から続く通り、そして今なお残る喫茶店や老舗の香り。それらもまた、「花」と同じように、変わらずに人の心を和ませてくれる存在だと感じたのです。

花と街と、わたしたちの春
春の山下公園で開催された花壇展ではその背景にある人々の工夫や想い、そして街と自然が織りなす風景がとても魅力的でした。どの作品も丁寧に込められていて、訪れた人の心にそっと何かを残してくれるように思います。
「花のある風景」とは、人がその場にとどまりたくなる空間。
いけばなもそうですが、花には空間や記憶を編む力があるのだと、改めて感じたひとときでした。
さて次回は、この花壇展の余韻を胸に、旧横浜の面影を訪ねる散策記を綴ってみたいと思います。
山手の異国情緒、赤レンガ倉庫のノスタルジー、そして街に咲いていた小さな花々たち。
少し時間を巻き戻すような旅に、どうぞお付き合いください。
それでは、今回はこの辺で。
花と猫、そしてちょっとの探訪記
いけばなとともに、今日もひと息。

