旧篠原家住宅で出会う美の世界(後編)

華道イベントレポート
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前編では、旧篠原家住宅の歴史や建築の美しさを中心にお伝えしましたが、今回は、そこで開催された假屋崎省吾先生の個展に焦点を当てて、抱いた印象を綴っていきたいと思います。

歴史ある和の空間に、色鮮やかな花々が織りなす幻想的な世界。花の表現の可能性を改めて感じる、そんなひとときでした。

伝統と革新が交わる花の空間

個展では、假屋崎省吾先生ならではの大胆で繊細な作品が並びました。旧篠原家住宅の趣ある広がりを活かしながら、それぞれの空間に花の持つ個性が見事に引き出されています。

たとえば、シンビジウムと桑を用いた作品。しっとりとした趣のある和室に、異世界の光を放つような枝垂れ桑の色彩が響き合い、伝統と革新が交錯する不思議な感覚に包まれました。流木の曲線が、静かな空間の中にリズムを生み出し、まるで生き物のような躍動感を持たせています。

また、サクラとレンギョウを中心にした作品は、春の訪れを祝うような華やかさがありました。流木を組み合わせることで、シンビジウムの持つ優雅なラインと対比をなしながら、全体の調和を生み出しています。

色彩と形が織りなす幻想的な世界

假屋崎省吾先生の作品には、色彩へのこだわりが強く感じられます。

ダリアとレンギョウを組み合わせた作品では、その色のコントラストが際立っていました。ダリアの深い赤が、レンギョウの明るい黄色と対比し、まるで屏風絵の一部のような美しさを放っていました。

また、アルストロメリア、サクラ、レンギョウ、カスミソウ、枝垂れ桑、流木を使用した作品は、まるで春風が吹き抜けるかのような爽やかさがありました。アルストロメリアの繊細な模様と、カスミソウの軽やかな白が、サクラの淡いピンクと調和し、軽やかな空間を生み出しています。

花と空間の融合

旧篠原家住宅の建築美と、花の表現が融合することで、展示空間はまさに「生けられた空間」として息づいていました。特に、カラーリングマムを使用した作品では、伝統的な和の空間に、現代的な色彩感覚が加わり、新たな生命を吹き込まれたような印象を受けました。

カラーリングマム、サクラ、レンギョウ、、流木を用いた作品は、視覚的な広がりと動きを感じさせるものでした。着色された貫板と流木が織りなすラインが、花々の色彩を引き立てる構成になっており、伝統美と現代美が見事に融合していました。

花が生み出す時間の流れ

假屋崎省吾先生の作品を見ていると、花の美しさだけでなく、それが生み出す時間の流れまでも感じることができます。時間とともに変化していく花の姿。光の加減や見る角度によって異なる表情を見せるその一瞬一瞬が、作品として完成されているのです。

旧篠原家住宅の静謐な空間の中で、華やかでありながらもどこか儚さを持つ花たち。まるで、ここに流れる時間そのものが作品の一部になっているかのようでした。

まとめ

假屋崎省吾先生の個展を通して、いけばなの持つ「空間を生かす美学」を改めて感じることができました。花材の組み合わせだけでなく、空間そのものをどう捉えるか——その視点によって、花の表現は無限に広がるのだと実感しました。

そして、旧篠原家住宅という歴史ある建築が、この花々をいっそう引き立てていたことも印象的でした。過去と現在、伝統と革新、自然と人の手による造形が交差するこの場所で、花の持つ力を改めて感じることができる。

私の華探訪はまだまだ始まったばかりで自分のスタイルも分からないけど、いつか私なりのいけばなを表現できるといいな。
そんなことを思わせてくれる個展でした。

それでは、今回はこの辺で。

花と猫、そしてちょっとの探訪記
いけばなとともに、今日もひと息。

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