旧篠原家住宅で出会う美の世界(前編)

華道イベントレポート
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栃木県宇都宮市にある 旧篠原家住宅

ここは江戸時代末期に建てられた貴重な歴史的建造物で、当時の豪商の暮らしを今に伝える貴重な文化財です。

今回の目的は、ここで開催されている「第2回 旧篠原家住宅個展 ー假屋崎省吾の世界ー」を拝見すること。華道家・假屋崎省吾先生の手によるいけばな作品が、この歴史ある空間の中でどのように生かされているのか、とても楽しみにしていました。

旧篠原家住宅を訪ねて


篠原家は代々、醤油醸造業や金融業を営み、宇都宮の経済を支えていたとされています。そのため、住宅の造りも一般的な町家とは異なり、随所に格式の高さが感じられます。

正面の 白壁に黒瓦を組み合わせた外観 は、シンプルながらも堂々とした佇まいを持ち、町の中心部にあった当時の繁栄を思わせるもの。また、玄関をくぐるとすぐに目に入るのが、奥へと続く広い土間。ここは商家ならではの造りで、かつては取引先の商人や職人たちが出入りし、にぎわっていたことでしょう。


住宅内に足を踏み入れると、その細やかな意匠の美しさに驚かされます。太く立派な梁が縦横に走る天井、経年変化によって深みを増した柱や床板、そして 繊細な欄間(らんま)の彫刻。和の空間ならではの落ち着きと、伝統的な職人技が融合した、静かで重厚な雰囲気が広がっていました。

そして、目に飛び込んでくる假屋崎省吾先生のいけばな作品


桜、レンギョウ——春を彩る花々が見事に生けられ、建物の持つ歴史と美しく調和していました。
桜の枝を大胆に広げた作品 は圧巻で、まるでこの部屋に一本の桜の木が根を張っているかのようでした。

アンティークな蓄音機と、時を刻む空間

木の階段を上がり、建物の奥へと進むと、 十畳間(じゅうじょうま) と呼ばれる広間がありました。
文字通り十畳敷きのこの部屋は、夫婦の寝室として利用されていたそうです。


現代の住宅ではなかなか見ることのできない伝統的な木造建築の技が随所に見られ、時を超えて受け継がれてきた職人の技術に改めて感動しました。


假屋崎省吾先生のいけばな作品は単なる「飾り」ではなく、空間の一部となり、むしろ この建物とともに生きている かのように感じられました。歴史ある町家に、新たな命を吹き込むような美しさがありました。

歴史と花が織りなす空間

旧篠原家住宅という歴史ある建物の中で見るいけばなは、普段の展示会とはまた違った趣を感じます。いけばなは、単に花を生けるだけでなく、 「空間」を生かす芸術 です。その意味で、このような伝統的な町家で展示される作品は、より一層その美しさが際立つのかもしれません。

假屋崎先生の作品は、華やかさだけではなく、場の空気に溶け込むような繊細さがあります。桜の枝の流れ、レンギョウの黄色の配置、ダリアの深い色合い——それぞれが絶妙なバランスで配置され、まるでこの家の歴史と対話しているかのようでした。

この建物自体も、時間の流れを感じさせる存在です。

江戸時代から100年以上の時を経て、今もなお美しい姿を保ち続けているこの場所。その空間に花が加わることで、過去と現在が交差し、新たな物語が生まれているように感じました。


次回の後編では、展示されていたいけばな作品の詳細に焦点を当て、、さらに深く掘り下げていきたいと思います。

どうぞお楽しみに!

それでは、今回はこの辺で。

花と猫、そしてちょっとの探訪記
いけばなとともに、今日もひと息。

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