花と香りに誘われて──神戸布引ハーブ園へ
「せっかく神戸まで来たんだし、ちょっと足をのばしてみようかな」
そんなふうに思ったのは、午後の予定まで少しだけ時間が空いたからでした。
用事があって訪れた神戸。
晴れた空に誘われるように、ロープウェイに乗って向かったのは、山の上にある布引ハーブ園。
眼下には広がる港町の風景。
そしてその先には、初夏の花と香りが彩る庭園が待っていました。
空とつながるマリーゴールドの丘
ロープウェイで山をのぼっていくと、まず目に入ってくるのは、斜面一面に咲いたマリーゴールドの黄色。
陽の光をいっぱいに浴びたその姿は、まさに「夏のはじまり」のよう。

ラベンダーの小径でひと息
風にのって、ふんわりと漂ってきたのは、ラベンダーの香り。
整えられた小道の両側には、紫の穂が静かに揺れていました。
その香りは、どこか心を鎮めるような、奥深く落ち着いた存在感。
思わず足を止めて、深く呼吸したくなるような空間でした。

香りのワゴンに誘われて
園内を歩いていると、ハーブの香りが次々に広がってきます。
ミント、カモミール、レモンタイム。
一つひとつに個性があり、葉に軽く触れただけで、ふわっと広がる香り。
「Tea」「Fragrance」「Cooking」と、テーマごとの小さな木製のワゴンに乗せられたハーブたち。
まるで“移動式の香りの庭”のようで、風に乗ってやさしく香りを運んでいました。

オールドローズの優しい余韻
オールドローズの咲くエリアでは、淡いピンクやクリーム色の花が、ゆっくりと揺れていました。
そっと近づいてみると、ダージリンティーのような、軽やかで上品な甘さの香りが鼻先に。
濃厚すぎないけれど、記憶にふっと残る。そんな香りです。

空から見下ろす神戸の街と海
帰り道は、再びロープウェイへ。
少し傾きかけた陽の光が、神戸の街並みにやわらかく降り注いでいました。
海と山がつながる港町・神戸ならではの風景。
空中から眺めるこの景色もまた、花と香りの余韻とともに、心に残ります。

花と香りがくれた、しあわせな気持ち
「いけばな」は、いまこの瞬間をいけるもの。
でも、こうして自然のなかで花と香りに包まれる時間も、またちがったかたちで「植物のいのち」と向き合うものかもしれません。
ゆっくりと流れる時間のなかで、心がふわっと軽くなるような、やさしい余白をもらえた一日でした。
それでは、今回はこの辺で。
花と猫、そしてちょっとの探訪記
いけばなとともに、今日もひと息。

