華道家 假屋崎省吾さんによる「歴史的建造物に挑むシリーズ」
今回訪れたのは、華道家・假屋崎省吾さんによるいけばなの展覧会「うだつをいける」。
17回目となる歴史ある町並みに華を添えるこのイベントが、どのような風景を生み出しているのか、私も楽しみにしていました。
開催日程: 2025年1月19日~3月9日
開催場所: 徳島県美馬市 うだつの町並み
会場: 藍商佐直 吉田家住宅、オデオン座など
江戸時代から続く町並みの中で展開されるいけばなの世界。假屋崎省吾さんならではの華やかで大胆な表現が、伝統の空間とどのように融合するのか、さっそくご紹介していきます。
うだつとは?
「うだつが上がらない」という言葉の由来にもなった「うだつ」とは、江戸時代の町家建築に見られる屋根の装飾のこと。もともとは隣家との防火壁としての役割を持っていましたが、やがて裕福な商人たちが財力を誇示するため、意匠を凝らした立派なうだつを構えるようになりました。
現在、うだつが残る町並みは全国にいくつかありますが、今回のイベントの舞台となった美馬市のうだつの町並みは、特に保存状態が良く、歴史的な景観を色濃く残しています。

街並みに溶け込むいけばな
会場に近づくと、普段は静かにたたずむ古い建物に艶やかな作品が目に飛び込んできました。街に溶け込みながらも彩りをまとい、まるで命を吹き込まれたかのようでした。
花器も町家に馴染む陶器が使われており、時には建物の一部を活かした大胆な生け方もありました。うだつのある街並みがそのまま一つの大きな舞台となり、いけばながその空間を引き立てています。


オデオン座といけばな
今回の展示の一部は、「オデオン座」という歴史ある劇場でも行われました。オデオン座は大正時代に建てられ、映画館や演劇の舞台として愛されてきた場所です。そんな文化的価値のある空間に、假屋崎省吾さんのいけばなが生けられることで、劇場全体がひとつの芸術作品のような雰囲気を醸し出していました。
劇場の装飾と花のコラボレーションは圧巻で、まるでステージ上の役者のように花々が存在感を放っていました。




伝統と現代が交差する
いけばなは、日本の伝統文化のひとつです。ですが、その枠を超えた自由な表現があるのもいけばなの魅力の一つです。
「うだつをいける」では、花だけでなく、空間そのものを作品の一部として捉えていたため、非現実感を体験することができます。
これまで、假屋崎省吾さんのことはテレビでしか拝見したことがなく、その印象は華やかな人。というものでした。ところが作品を拝見すると、どれも繊細で細やかな気遣いを感じました。
また、同じ町並みの中に、古典的な生け方と現代的な構成の作品が共存しているのも面白いところ。時代を超えて続いてきた「うだつ」と、新たな表現を模索する「いけばな」が共鳴し合い、今までにない景色を生み出していました。
まとめ
「うだつをいける」は、単なるいけばなの展示ではなく、街並みそのものと対話しながら生まれるアートでした。美馬市の歴史ある町並みに、新たな命を吹き込むように咲く花々。その光景を目の当たりにし、いけばなが持つ可能性の広がりを改めて感じました。
次回の記事では、具体的な作品について詳しくご紹介したいと思います。
それでは、今回はこの辺で。
花と猫、そしてちょっとの探訪記
いけばなとともに、今日もひと息。

