「また来られてよかった」
そう思える場所があるのは、とても幸せなことです。
この日は、ずっと心に残っていた場所──虎ノ門にある愛宕神社を訪れました。
かつて何度となく足を運び、四季折々の空気を感じながら石段を登った、思い出の地です。
都会のなかにひっそりと佇む神域
愛宕神社は、虎ノ門ヒルズのすぐそばという都心の真ん中にありながら、一歩足を踏み入れると、街の喧騒がすっと遠のいていきます。
「出世の石段」とも呼ばれる急な石段を、息を切らせながら登っていくのも久しぶり。
あの頃と変わらない階段の勾配に、ちょっとした懐かしさとともに、過ぎてきた時間をそっと思い返しました。そして、見上げた先で迎えてくれるのは、青空と木立、そして静かに佇む社殿の美しさ。
街のすぐそばに、こんなにも静かで穏やかな空間があるということに、何度来ても心を打たれます。


白猫のシズさん、こんにちは
本殿にお参りを済ませ、ふと社務所の方へ目をやると──いました、白猫のシズさん。
何年も前からこの神社に暮らしている、ふわふわの毛並みが美しい白猫さんです。名前を呼ぶと、少しだけ目を細めてくれたような気がして、思わず笑みがこぼれました。
静かな境内に佇むシズさんは、まるで神様の使いのようでもあり、訪れる人の心をやさしく包んでくれる存在。
こうしてまた出会えたことが、今日いちばんの嬉しい出来事だったかもしれません。

咲き誇る花たちと、春の余韻
境内では、春の花たちがそれぞれのリズムで咲いていました。
弁財天社のそばには、ピンク色のツツジがふわりと咲き誇り、鮮やかさの中にも品のある佇まいを見せています。
その奥に咲いていたのは、コデマリ。
白い小花が手毬のように丸く集まって咲く姿は、本当に可愛らしくて。風にそっと揺れるたびに、やわらかな香りを運んでくれるような気がしました。
神社と花──どちらも日々の中で静かに寄り添ってくれる存在。愛宕神社のこのやわらかな春の風景は、どこか「いけばな」の精神にも通じるように感じました。
形の美しさや季節の気配、そして何より、心にそっと残る余白。


「変わらないもの」があるということ
久しぶりに訪れた愛宕神社は、以前と同じように優しく出迎えてくれました。
変わらない石段の感触、風の音、そしてシズさんのまなざし。
日々がどんなに移り変わっても、こうして変わらずにいてくれる場所があることは、どこか励まされるような気持ちになります。
これからも季節ごとに、ふと思い出しては足を運びたくなる、そんな場所。
花や緑の移ろいとともに、またここを訪れる日を心のどこかで楽しみにしています。
次回の華探訪は、初夏を感じさせてくれる藤の花を訪ねて──
【亀戸天神・藤まつり】の様子をお届けします。
それでは、今回はこの辺で。
花と猫、そしてちょっとの探訪記
いけばなとともに、今日もひと息。

